2025/07/03

邦楽とJ-POPの違いとは?それぞれの言葉の意味やアーティスト例

邦楽とJ-POPの違いとは?それぞれの言葉の意味やアーティスト例

普段何気なく使っている「邦楽」と「J-POP」という言葉。どちらも日本の音楽を指すけれど、その違いをはっきりと説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。

実は、この二つの言葉には、日本のポピュラー音楽が歩んできた大きな歴史の流れが隠されています。とくに、「J-POP」という言葉が、いつ、なぜ生まれたのかを知ると、今の音楽がより深く楽しめるようになるはずです。

そこでこの記事では、「邦楽」と「J-POP」の明確な違いから、その背景にある歴史、そして具体的なアーティストまで、分かりやすく徹底解説します。

日本の音楽について理解を深めたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

1.「邦楽」と「J-POP」の違い


「邦楽」と「J-POP」は、どちらも日本の音楽を指す言葉ですが、その言葉がカバーする音楽の範囲や、生まれた時代背景が異なります。この2つの言葉の違いを理解すると、日本のポピュラー音楽の歴史の流れが、より明確に見えてきます。

1-1.結論:「J-POP」は「邦楽」という大きなカテゴリの中の一つのジャンル

結論として、「邦楽」が日本の音楽全般を指す最も広い言葉であるのに対し、「J-POP」は、その邦楽という大きなカテゴリの中に含まれる、特定の時代以降の音楽を指す一つのジャンルです。

「邦楽」には、演歌や民謡、歌謡曲、そしてJ-POPやJ-ROCKなど、日本で生まれた全ての音楽が含まれます。一方で、「J-POP」は、主に1990年代以降に栄えた、洋楽の影響を強く受けたポップミュージックを指します。

そのため、全てのJ-POPは邦楽ですが、全ての邦楽がJ-POPというわけではないというわけです。

1-2.【早見表】邦楽とJ-POPの主な3つの違い

「邦楽」と「J-POP」の主な違いを、3つの観点から分かりやすく整理したものが以下の表です。

項目 邦楽 J-POP
指し示す範囲 演歌、歌謡曲、J-POP、民謡、雅楽など、日本の音楽全般を指す最も広い言葉。 邦楽の中の一ジャンル。主に1990年代以降の洋楽的なポピュラー音楽を指す。
音楽的な特徴 日本語の響きや歌のメロディを重視する傾向が強い。(とくに歌謡曲など) 8ビートや16ビートといった、リズムやビート感を重視する傾向が強い。
歴史・時代背景 「洋楽」の対義語として、古くから使われている言葉。 1988年にラジオ局「J-WAVE」が使い始めたのが起源。90年代に一般的に定着。

ここからは、それぞれの内容を詳しく解説していきます。

1-2-1.指し示す範囲の違い

二つの言葉の最も大きな違いは、言葉が指し示す音楽の「範囲」の広さです。

「邦楽」は、日本の伝統音楽である雅楽や民謡から、演歌、歌謡曲、J-POP、ロックまで、日本で制作・演奏される音楽全般を非常に幅広く含みます。一方、「J-POP」は、その中の「1990年代以降のポピュラー音楽」という、より限定的な範囲を指すジャンル名です。

つまり、「邦楽」は国籍による分類、「J-POP」は時代とスタイルによる分類といえます。

1-2-2.音楽的な特徴の違い

邦楽に代表される「歌謡曲」は、日本語の響きを重視したメロディラインや、演歌にも通じる独特の節回しなどが特徴的でした。一方「J-POP」は、洋楽のポップスに近い、横乗りでリズミカルな8ビートや16ビートの楽曲が中心です。

J-POPでは、英語の歌詞が自然に取り入れられたり、ラップが加わったりと、よりビート感を重視したサウンドになっています。このサウンドの変化が、J-POPをそれまでの邦楽から区別する大きな要素となりました。

1-2-3.歴史・時代背景の違い

「J-POP」は、1988年に開局したラジオ局「J-WAVE」が、従来の邦楽と区別するために使い始めたのが起源です。

当時、J-WAVEは、それまでの日本の歌謡曲とは一線を画す、洋楽志向の新しい日本のポップスを選曲していました。その新しい音楽を指す言葉として「J-POP」というカテゴリーが生まれ、CDがミリオンセラーを連発した1990年代に、世間一般へ広く定着しました。

J-POPは、まさに日本の音楽シーンが大きく変わる時代の転換点から生まれた言葉なのです。

2.「邦楽」という言葉の意味

ここからは、邦楽について2つの視点からさらに深堀していきます。

2-1.日本の音楽全体を指す言葉

「邦楽」は、文字通り「我が邦(くに)の音楽」を意味し、日本国内で制作された、あるいは日本人によって演奏される音楽全般を指す、最も広義な言葉です。よって、音楽のジャンルやスタイル、時代を問いません。海外の音楽を「洋楽」と呼ぶのに対し、それと区別するために使われる、国籍にもとづいた大きな分類と理解すると分かりやすいでしょう。

したがって、最新のヒットチャートを賑わすポップスから、伝統的な雅楽まで、全てがこの「邦楽」という言葉の範囲に含まれます。まさに、日本の音楽文化そのものを表す、大きな傘のような言葉が「邦楽」です。

2-2.演歌や歌謡曲、民謡も「邦楽」に含まれる

「邦楽」というカテゴリには、J-POPやロックだけでなく、演歌、歌謡曲、そして各地方に伝わる民謡といった、多様なジャンルも全て含まれます。

J-POPという言葉が生まれる以前、日本のポピュラー音楽の主流は、演歌や歌謡曲でした。もちろん、これらも日本で生まれた音楽であるため、広義の「邦楽」の一部です。さらに、三味線や尺八で演奏される純邦楽や、お祭りで歌われる民謡なども、日本の音楽文化として邦楽に分類されます。

このように、J-POPは邦楽の中のほんの一部分に過ぎないということを知ると、両者の関係性がより明確になります。

3.「J-POP」という言葉の意味

次に、「J-POP」について3つの視点から解説していきます。

3-1.1990年代以降の、洋楽的ポピュラー音楽を指す言葉

「J-POP」は、一般的に、CDが記録的な売上を記録した1990年代以降に主流となった、洋楽的なサウンドを持つ日本のポピュラー音楽を指す言葉です。

それまでの歌謡曲に比べ、8ビートや16ビートといった、踊れるリズミカルなビートが強調されています。サビから始まる曲構成や、歌詞に英語のフレーズを多用するなどの特徴も見られます。

音楽の作り方そのものがアメリカやイギリスのヒットチャートに強く影響されているのが、J-POPの大きな特徴です。

3-2.ラジオ局「J-WAVE」が生んだ新しい音楽カテゴリー

前述したように、「J-POP」という言葉は、1988年に開局したFMラジオ局「J-WAVE」が、自局で流す音楽を従来の「邦楽」と区別するために生み出した新しいカテゴリー名です。

当時、J-WAVEは、それまでの日本の歌謡曲とは一線を画す、洋楽志向の新しい日本の楽曲を積極的に選曲していました。その音楽を、それまでの歌謡曲とは違うものとしてリスナーに提示するため、「日本のPOP=J-POP」という言葉を使い始めたのがきっかけです。

一つのラジオ局から生まれたこの言葉が、やがて日本の音楽シーン全体を定義するまでに広がりました。

3-3.「歌謡曲」や「ニューミュージック」との関係性

J-POPは、それ以前に存在した「歌謡曲」へのアンチテーゼとして生まれ、「ニューミュージック」の流れを汲んで発展したジャンル、という関係性を持っています。

日本的な情緒を歌い上げる「歌謡曲」に対し、70年代にはシンガーソングライターによる「ニューミュージック」が登場し、音楽性が多様化しました。J-POPは、このニューミュージックの自由な音楽性を引き継ぎつつ、さらにビート感や洋楽色を強めたものとして、90年代に確立されたのです。

J-POPは突然生まれたわけではなく、歌謡曲からニューミュージック、そしてJ-POPへと、日本の音楽史の連続性のなかにあるジャンルです。

4.具体的なアーティストで見る「邦楽」と「J-POP」


「邦楽」と「J-POP」の違いは、それぞれの時代を象徴する代表的なアーティストの音楽を聴き比べるとより具体的に理解できます。

ここでは、J-POPという言葉が生まれる前の「歌謡曲」が中心だった時代の邦楽アーティストと、新しいJ-POPの時代を築いたアーティストを、それぞれご紹介します。

4-1.歌謡曲時代の「邦楽」を代表するアーティストの例

「邦楽」を代表するのは、日本人の情緒や心に深く訴えかける「歌謡曲」のスターたちです。

・美空ひばり
・坂本九
・ザ・ピーナッツ
・加山雄三
・沢田研二
・山口百恵
・松田聖子
・中森明菜

上記のような歌謡曲のスターが歌う楽曲は、日本語の美しい響きを活したメロディと、ドラマチックな歌唱が大きな特徴です。まさに、日本の大衆音楽の王道ともいえるでしょう。

4-2.「J-POP」の時代を築いた代表的なアーティストの例

「J-POP」の時代を築いたのは、1990年代以降に登場し、洋楽のリズムやサウンドを積極的に取り入れて、日本の音楽シーンを塗り替えたアーティストたちです。

・DREAMS COME TRUE
・CHAGE and ASKA
・B’z
・Mr.Children
・スピッツ
・宇多田ヒカル
・安室奈美恵
・SMAP

これらのアーティストは、1990年代以降、洋楽の要素を取り入れた新しいサウンドで音楽シーンを塗り替えました。ビートが前面に出ており、英語と日本語が自然に混ざり合う、新しい感覚を持ったJ-POPの音楽が、現在の日本の音楽の礎を築いたのです。

5.【まとめ】邦楽とJ-POPの違いを理解して音楽をもっと楽しもう

この記事では、「邦楽」と「J-POP」という、似ているようで異なる二つの言葉について、その意味や歴史的背景、そして具体的なアーティストを例に挙げて違いを解説しました。

「J-POP」が1990年代以降の洋楽的サウンドを持つ日本のポップスを指す一つのジャンルであるのに対し、「邦楽」は演歌や歌謡曲なども含む、日本の音楽全体を指す大きな傘のような言葉であることが、お分かりいただけたかと思います。

この違いを知ると、普段聴いている音楽のルーツが見えたり、新しい音楽を探す際のヒントになったりします。ぜひ、これを機に様々な時代の日本の音楽に触れてみてください。

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コラム監修者

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