2025/08/12
レコードが針飛びする原因や対処法 | 針飛びを治してレコードを楽しもう

お気に入りのレコードを聴いている最中、突然「プツッ」と音が飛ぶ「針飛び」。音楽への没入感が台無しになる、とてもがっかりする瞬間ですよね。また、「大切な盤に傷がついた?」「プレーヤーが壊れた?」と、不安に感じてしまいますよね。
針飛びの原因は、レコード盤のホコリといった簡単なものから、プレーヤーの少しの設定ミスまで様々です。この記事では、以下の内容を解説していきます。
・レコードが針飛びする原因
・【原因別】レコードの針飛びの対処法
レコードの針飛びに対して誰でも実践できる対処法をご紹介していきますので、レコードが針飛びする原因を知りたい、改善したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.レコードが針飛びする原因
レコードの針飛びは、レコードの溝を針が正しくトレースできなくなったときに発生します。その原因が盤にあるのか、それとも再生する側のプレーヤーにあるのかを、順を追って切り分けることが、解決への近道です。
そのため、まずはレコードのどこに針飛びの原因があるのか、チェックすることから始めてください。
1-1.まずは簡単な「レコード側」の原因からチェック
針飛びが起きたら、まず最初に、レコード盤そのものにホコリや傷、反りといった物理的な異常がないかを目で見て確認することから始めましょう。どんなに高価なプレーヤーを正しく設定していても、再生するレコード盤自体に問題があれば、針飛びが起きてしまうためです。
多くの場合、盤面のクリーニングといった、簡単な対処で解決することもあります。プレーヤーの設定を疑う前に、まずは再生するメディアの状態を確認するのが、トラブルシューティングの基本です。
1-2.それでも治らない場合は「プレーヤー側」の設定を見直そう
レコード盤をきれいにしても、あるいは、どのレコードをかけても同じように針飛びが起こる場合は、レコードプレーヤー側の設定に原因がある可能性が高いです。
とくに、針圧やアンチスケーティングといった設定は、針が溝を正しくなぞるための非常にデリケートなバランスの上に成り立っています。このバランスが崩れると、針飛びの直接的な原因となるのです。
プレーヤー側の設定は少し専門的になりますが、正しく調整すれば、見違えるほど安定した再生が可能になります。
2.レコード側の原因による針飛びの対処法
レコード盤が原因で起こる針飛びは、主に「ホコリ」「傷」「反り」の3つが考えられ、それぞれ対処法が異なります。軽度なホコリであれば、ご自身で簡単に対処できますが、重度の傷や反りは、残念ながら完全な修復は困難です。
それぞれの原因と、その対処法を詳しく見ていきましょう。
2-1.原因①ホコリや静電気の付着
レコードの溝に付着したホコリやゴミは、針が物理的に乗り越えられない障害物となり、針飛びの最も一般的な原因となります。
静電気を帯びたレコードは、空気中のホコリを吸い寄せてしまいます。再生前に、レコード専用のクリーニング液と布、あるいは静電気除去ブラシを使って、溝に沿って優しくホコリを取り除いてあげましょう。
多くの針飛びは、この基本的なクリーニングをおこなうだけで、劇的に改善することがあります。
関連記事:レコードのクリーニング方法 | 必要な道具とクリーニング時の注意点
2-2.原因②盤面の深い傷
レコード盤の表面に、溝を横切るような深い傷がついている場合、針飛びが起こります。針がその傷を乗り越えられずに、外側や内側の溝へ強制的に移動させられてしまうためです。
浅い擦り傷であれば「プチッ」というノイズが出るだけで済みますが、爪でなぞって明らかに引っかかるような深い傷は、修復が非常に困難です。中古レコードを購入する際は、とくに盤面の傷の有無を、光に当ててよく確認する必要があります。
2-3.原因③レコード盤の反り
レコード盤が、熱などによって波のように歪んでしまう「反り」も、針飛びの大きな原因となります。盤が反っていると、回転中にレコード盤が上下に大きく波打ち、トーンアームがその動きに追従できなくなるためです。
とくに、盤が山なりに盛り上がる部分で、針が溝から浮き上がってしまい、外側へと滑って針飛びを起こします。軽度の反りであれば、レコードスタビライザー(重し)の使用で改善する場合もありますが、根本的な修復は困難です。
3.プレーヤー側の原因による針飛びの対処法
どのレコードをかけても針飛びが起こる場合は、レコードプレーヤーに以下の不調が起きている可能性があります。
・針圧が軽すぎる、または重すぎる
・アンチスケーティングの設定が不適切
・レコード針の摩耗や損傷
・プレーヤーの設置が水平でない
それぞれの対処法を解説していきます。
3-1.原因④針圧が軽すぎる、または重すぎる
レコード針が盤面に接する圧力(針圧)が、カートリッジの指定値に対して軽すぎると、針が溝から浮き上がり、針飛びの直接的な原因となります。
針圧は、軽ければ良いというものではありません。軽すぎると、溝の凹凸に針先がしっかりと追従できず、音の途切れや針飛びを招きます。逆に重すぎると、レコードの溝と針先の両方を摩耗させてしまう原因になります。
お使いのカートリッジの取扱説明書で推奨針圧を確認し、トーンアームのウェイトを調整して、正しい値に設定しましょう。
3-2.原因⑤アンチスケーティングの設定が不適切
トーンアームが内側へ引き寄せられる力を打ち消す「アンチスケーティング」の設定が不適切な場合も、針飛びの原因となります。
レコードが回転すると、トーンアームには常に内側へ向かう力が働きます。アンチスケーティングは、これと逆方向の外側へ向かう力を加え、針先が溝の中央を安定してトレースできるようにする機能です。この設定が強すぎたり、弱すぎたりすると、針が片側の溝に押し付けられ、音の歪みや針飛びを引き起こします。
一般的には、針圧と同じ数値に設定するのが基本です。
3-3.原因⑥レコード針の摩耗や損傷
レコード針の先端は、再生を重ねることで徐々に摩耗していく消耗品です。摩耗した針や、折れ・欠けといった損傷がある針は、正常に溝をトレースできず、針飛びを起こします。
摩耗した針先は、本来の形を失っているため、溝の情報を正確に読み取れず、音がこもったり、歪んだりします。さらに、摩耗した針で再生を続けると、レコードの溝そのものを削ってしまい、大切な盤を傷つけることにもなります。一般的な交換時期の目安は、再生時間200〜500時間程度です。
3-4.原因⑦プレーヤーの設置が水平でない
意外に見落としがちですが、レコードプレーヤーが置かれている棚や床が完全に水平でないことも、針飛びの大きな原因です。
もしプレーヤーが傾いていると、トーンアームが重力によって、低い方へと引っ張られてしまいます。この余計な力が、アンチスケーティングのバランスを崩し、針が外側や内側の溝へと滑ってしまう原因となります。
水準器などを使い、プレーヤーが前後左右、完全に水平に設置されているかを確認して、必要であれば足の高さを調整しましょう。
4.それでも針飛びが治らない場合のその他の原因
レコードとプレーヤーの両方を確認しても針飛びが治らない場合、特定のレコード盤と、再生機器との「相性」や、スピーカーの「振動」といった、その他の原因が考えられます。これらは、機器の故障というよりも、再生環境に起因する問題です。
最後のチェックポイントとして、以下の2点を確認してみてください。
4-1.特定のレコードとカートリッジの相性問題
まれに、特定のレコード盤の溝のカッティング(音の刻み方)と、お使いのレコード針(カートリッジ)の相性が悪く、針飛びが起こる場合があります。とくに、低音が多く収録されているクラブミュージック系の重量盤レコードや、針先の形状が特殊な高性能カートリッジを使用している場合に、この問題が発生しやすいです。
もし、特定のレコードの特定の箇所だけで必ず針飛びが起こる場合は、この相性問題を疑ってみるのも一つの手です。
4-2.スピーカーからの振動による影響
スピーカーの音量を上げた際に、とくに低音に合わせて針飛びが起こる場合は、スピーカーの振動が床や棚を伝ってプレーヤーに影響している(ハウリング)可能性があります。
レコードプレーヤーは、非常に繊細な振動を拾う装置です。スピーカーからの大きな音の振動が、プレーヤー本体や針先に伝わると、針が物理的に揺さぶられ、溝から飛び出してしまうことがあります。
対策として、スピーカーをプレーヤーから離れた場所に設置したり、防振効果のあるインシュレーターをプレーヤーの下に敷いたりするのが有効です。
5.まとめ
この記事では、レコードの針飛びについて、盤面のホコリからプレーヤーの針圧設定まで、考えられる原因とその対処法を網羅的にご紹介しました。
ご覧いただいたように、針飛びの原因の多くは、正しい知識をもって、一つひとつ確認・調整していくことで解決が可能です。少し難しく感じるかもしれませんが、このトラブルシューティングの過程こそが、アナログオーディオの奥深さに触れ、自分の機材への理解を深める良い機会でもあります。
ぜひこの記事を参考に、針飛びのない、快適で豊かなレコードライフを送ってください。
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コラム監修者
テキスト〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇