2025/09/08

シティポップとは?代表するアーティストや名曲をご紹介

シティポップとは?代表するアーティストや名曲をご紹介

YouTubeのおすすめや、TikTokで耳にした、どこか懐かしくもお洒落なサウンド。「シティポップ」という言葉は知っているけれど、一体どんな音楽なの?と、興味を持った方も多いのではないでしょうか。

1980年代の日本が生んだこの音楽は、今や世界中の若者を熱狂させています。

そこでこの記事では、そんなシティポップの基本的な意味から、誕生の背景、そして山下達郎などの代表的なアーティストまでを徹底解説していきます。

この記事を読むことで、シティポップとはなにか、どのようなアーティストを押さえておくべきかがわかります。シティポップへの理解を深めたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.シティポップとは?


シティポップとは、特定の音楽理論で定義されるジャンルではありません。1970年代後半から80年代の日本が持つ、都会的で、きらびやかな「空気感」を表現した、ポップミュージックの総称です。

シティポップは、当時の豊かな経済力を背景に、最高のミュージシャンと技術を結集して作られました。現在、時代と国境を越えて、その魅力が世界中で再発見されています。

1-1.シティポップの定義

シティポップの定義は、実は曖昧です。ですが一般的には、「1970年代後半から1980年代にかけて日本で制作された、都会的で洗練された雰囲気を持つ洋楽志向のポップミュージック全般」を指します。

明確な音楽理論上の決まりはありませんが、夏の海辺や夜のハイウェイといった、リゾート感あふれる情景が浮かぶような、心地よいサウンドが共通の特徴です。当時の人々が憧れた、モダンでお洒落なライフスタイルのためのサウンドトラックといえるでしょう。

1-2.シティポップ誕生の背景

「シティポップ」は、1970年代後半から80年代の、豊かで楽観的な日本の空気感を映し出す、都会的で洗練されたポップミュージックです。

高度経済成長による好景気を背景に、山下達郎や大滝詠一といった才能が、当時の洋楽に影響を受けた、きらびやかなサウンドを創り上げました。彼らはライブよりもスタジオでの完璧な音作りを重視したため、その人気は東京周辺の都市部に集中していたのが特徴です。

当時は「ニューフォーク」や「ニューミュージック」などと呼ばれていましたが、その音楽性が再評価されるなかで「シティポップ」という総称が与えられ、一つのジャンルとして確立されました。

1-3.シティポップが影響を受けている音楽

シティポップのサウンドは、当時のアメリカ西海岸を中心に流行していた、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)や、ソウル、ファンク、フュージョンといった、洋楽から非常に大きな影響を受けています。

日本のアーティストやアレンジャーたちが、これらの洗練された音楽を巧みに取り入れ、日本人の感性に合う、キャッチーなメロディと融合させました。卓越した演奏技術を持つスタジオミュージシャンたちの存在も、その音楽的なクオリティを支える重要な要素でした。

1-4.シティポップが影響を与えている音楽

シティポップは、現代の、とくに海外のインターネットを中心とした音楽シーンに大きな影響を与えています。

80年代のシティポップの楽曲をサンプリングしたり、その独特の浮遊感を再構築したりする、「ヴェイパーウェイヴ」や「フューチャー・ファンク」といった、新しいネット音楽のジャンルを生み出す源泉となりました。また、The Weekndのような世界のトップアーティストにも、その影響は及んでいます。

過去の音楽としてだけでなく、新しいカルチャーを生み出す、創造の種となっているのです。

2.シティポップが海外で人気を集めている理由

シティポップが誕生してから40年以上経った今、海外で人気を集めています。YouTube上で偶然発見されたことや、SNSでのカバー・ダンス動画の拡散、普遍的な音楽性の高さなどが主な理由です。

インターネット時代のリスナー自身が生み出した、現代ならではの文化現象といえます。日本のバブル期が生んだ音楽が、時代と国境を越えて、今新たな価値を見出されているのです。

シティポップが海外で人気を集めている理由については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

関連記事:なぜシティポップは海外で人気なのか?4つの理由を徹底解説

3.シティポップを代表するアーティスト


ここでは、シティポップの世界を知るうえで、まず押さえておきたい以下6組の代表的なアーティストをご紹介します。

・山下達郎
・竹内まりや
・大滝詠一
・大貫妙子
・松原みき
・角松敏生

それぞれ見ていきましょう。

3-1.山下達郎

バンド「シュガー・ベイブ」を経てソロデビューした山下達郎さんは、1980年のアルバム『RIDE ON TIME』の大ヒットで、日本を代表するアーティストとなりました。

自身の活動に加え、妻である竹内まりやさんのプロデュースや、KinKi Kids「硝子の少年」など、他アーティストへの楽曲提供も多数手がけています。「クリスマス・イブ」が持つギネス記録に象徴されるように、時代を超えて愛される、卓越したサウンドを作り続ける、日本のポップス界のレジェンドです。

3-2.竹内まりや

慶應義塾大学在学中にデビューした竹内まりやさんは、「不思議なピーチパイ」などのヒットで一躍人気歌手となりました。

多忙から一時活動を休止されたあと、山下達郎さんと結婚し、「シンガーソング専業主婦」として独自のスタイルで音楽活動を継続。1980年代後半に本格復帰して以降も、数々の名曲を生み出し続けています。

近年では、80年代の楽曲「プラスティック・ラブ」が海外で爆発的な人気を呼び、シティポップブームの象徴となるなど、世代と国境を超えて愛される、日本を代表するアーティストです。

3-3.大滝詠一

大瀧詠一は、日本のポップス史に輝く音楽家です。「はっぴいえんど」での活動を経てソロとなり、歴史的名盤『ロング・バケーション』で独自のサウンドを確立しました。

その才能は自身の歌唱に留まらず、山下達郎らを見出すプロデューサーとして、また松田聖子や小林旭に数々の名曲を提供する作曲家としても発揮しました。「幸せな結末」のヒットが証明するように、彼の音楽は時代を超えて再評価され、新しい世代の心にも響き続けています。

3-4.大貫妙子

山下達郎らとのバンド「シュガー・ベイブ」を経て、日本の女性シンガー&ソングライターの草分けとなった大貫妙子さん。坂本龍一らYMOのメンバーとも制作を共にし、その透明感あふれる歌声と、唯一無二の繊細な音楽世界を確立しました。

映画『Shall we ダンス?』やゲーム『MOTHER3』の音楽も手掛けるほか、文筆家としても活躍するなど、その活動は多岐にわたります。独自の美意識を貫く、孤高のアーティストです。

3-5.松原みき

松原みきさんの、ポップスやジャズ、R&Bを融合させた卓越した歌唱力と、洗練されたサウンドは、当時から高く評価されていました。

近年、1979年のデビュー曲「真夜中のドア〜Stay With Me」がTikTokなどを通じて海外でバイラルヒットしたことで、その人気が再燃。シティポップを象徴するアーティストとして、世界中の新しい世代のファンからも絶大な支持を集めています。

3-6.角松敏生

自身の活動でヒットを放つ一方、杏里「悲しみがとまらない」や中山美穂「You’re My Only Shinin’ Star」など、80年代を象徴する数々の名曲をプロデュースした角松敏生さん。

一度は自身のアーティスト活動を「凍結」するも、その期間に手がけた「WAになっておどろう」が国民的ヒットを記録。日本武道館での劇的な「解凍」後もその人気は衰えず、妥協なき音楽性で、今なお日本の音楽シーンの最前線で活躍し続けています。

4.まず聴くべきシティポップの名曲10選

「これからシティポップを楽しみたい」とお考えの方にぴったりな名曲を、10曲ご紹介していきます。

・竹内まりや「プラスティック・ラブ」
・大貫妙子「都会」
・松原みき「真夜中のドア〜Stay With Me」
・山下達郎「RIDE ON TIME」
・吉田美奈子「恋は流星」
・角松敏生「After 5 Crash」
・杏里「悲しみがとまらない」
・大滝詠一「君は天然色」
・オメガドライブ「君は1000%」
・杉山清貴&オメガトライブ「ふたりの夏物語」

一つずつ見ていきましょう。

4-1.竹内まりや「プラスティック・ラブ」


「プラスティック・ラブ」は、竹内まりやの歌声と都会的なアレンジが融合したシティポップの象徴です。1984年に発表され、発売当初は大きなヒットではなかったものの、のちに海外で注目を集めました。

今ではジャンルを代表する一曲とされています。

4-2.大貫妙子「都会」


「都会」は、大貫妙子が持つ柔らかく透明感のある歌声を堪能できる一曲です。シンプルながらも奥行きを感じるサウンドで、都会の孤独や空気感を表現しています。

聴く人に都会生活のリアルな情緒を思い起こさせる名曲です。

4-3.松原みき「真夜中のドア〜Stay With Me」


「真夜中のドア〜Stay With Me」は、松原みきのデビュー曲でありながら、世代を超えて支持され続けています。2020年代に海外で再評価され、世界中で話題となりました。

切なさと温かさを併せ持つ曲調が魅力です。

4-4.山下達郎「RIDE ON TIME」

「RIDE ON TIME」は、山下達郎を代表する楽曲で、明るく爽やかなメロディが印象的です。1980年のリリース以来、夏のドライブや海辺の風景を思い起こさせる曲として親しまれています。

シティポップを語るうえで欠かせない名曲です。

4-5.吉田美奈子「恋は流星」

「恋は流星」は、吉田美奈子の伸びやかで力強い歌声が響く一曲です。ジャズやソウルの要素を取り入れた独特のサウンドが特徴で、夜空に輝く星のような幻想的な雰囲気を持っています。

都会的な洗練を体感できる名作です。

4-6.角松敏生「After 5 Crash」


「After 5 Crash」は、角松敏生の都会的でダンサブルなスタイルを象徴する楽曲です。仕事を終えたあとの解放感や華やかな夜の空気を感じさせるリズムが魅力です。

80年代のシティポップシーンを代表するサウンドとして人気があります。

4-7.杏里「悲しみがとまらない」


「悲しみがとまらない」は、杏里の代表曲であり、切ない歌詞とキャッチーなメロディが融合しています。軽快で聴きやすいサウンドながら、心に残る哀愁を持ち合わせています。

多くのリスナーが共感し、時代を超えて愛される楽曲です。

4-8.大滝詠一「君は天然色」


「君は天然色」は、大滝詠一のアルバム「A LONG VACATION」に収録された名曲です。明るくポップなメロディと色彩豊かな歌詞が特徴で、シティポップの軽やかさを存分に味わえます。

今でも幅広い世代に親しまれています。

4-9.オメガトライブ「君は1000%」


「君は1000%」は、オメガドライブのデビューシングルかつ代表曲であり、80年代らしいキラキラとしたサウンドが魅力です。恋愛の高揚感をそのまま表現した歌詞と、軽快なリズムが心地よく響きます。

シティポップの楽しさを実感できる一曲です。

4-10.杉山清貴&オメガトライブ「ふたりの夏物語」


「ふたりの夏物語」は、杉山清貴&オメガトライブの大ヒット曲で、夏を象徴する爽やかなサウンドが魅力です。南国リゾートを思わせる雰囲気と、切ない恋の物語が描かれています。

今でも夏の定番曲として愛され続けています。

5.今からシティポップを楽しむなら、レコードかカセットがおすすめ

今からシティポップの世界を楽しむなら、当時の空気感を丸ごと体験できる、アナログレコードかカセットテープで聴くのがおすすめです。

シティポップは、アナログの温かく奥行きのあるサウンドで聴かれることを前提に作られています。また、永井博氏などに代表されるレコードジャケットの美しいアートワークも、その世界観を構成する重要な要素といえます。

音楽を「モノ」として所有し、アートと共に楽しむ体験が、シティポップの魅力を最大限に引き出してくれます。

アナログレコードの聴き方、はじめ方については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

関連記事:LPレコードを聴くにはどんな準備が必要?必要な機材リストや再生手順

6.まとめ

この記事では、「シティポップとは何か?」という疑問に、その定義から歴史、代表的なアーティストまで広くお答えしました。

シティポップとは、日本の豊かな時代が生んだ、普遍的な魅力を持つ音楽です。現代にその魅力が足発見されたことは、インターネットが文化の新しい価値を掘り起こす力を持っていることを示しています。

この記事で紹介した名曲たちを入り口に、ぜひ、あなただけのお気に入りの一枚を探してみてください。

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コラム監修者

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