2025/06/03
「EP」の意味とは?定義やシングル・アルバムとの違いについて

音楽を楽しむなかで、「EP」という言葉を聞き、シングルやアルバムとなにが違うのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
EPとは、一般的に4〜7曲程度の音楽が収録されたCDのことです。この記事では、以下の内容を解説していきます。
・EPの定義
・音楽アーティストがEPを制作する理由やリリースするメリット
・レコードにおけるEPの意味
この記事を読むことで、EPの意味を理解し、音楽をもっと楽しめるようになります。EPの意味について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.「EP」の定義とは?
EPとは、シングルとアルバムの中間に位置づけられる音楽作品の形態です。EPは「Extended Play(エクステンデッド・プレイ)」という言葉の略で、日本語に直訳すると、「延長された演奏」という意味になります。
曲数がシングルよりも多く、アルバムよりも少ないのが特徴です。
アーティストが伝えたいコンセプトを数曲にわたって表現したい場合によく用いられる手法で、1曲だけでは表現しきれないけれど、フルアルバムを作るほどではない、そんな絶妙な立ち位置の作品がEPだと理解すると良いでしょう。
EPはもともとレコードの規格でしたが、現在ではCDや音楽配信サービスでも一般的なリリース形態として定着しています。
1-1.「EP」「シングル」「アルバム」の違い
「EP」「シングル」「アルバム」の最も大きな違いは、収録されている曲数と作品全体の収録時間です。
一般的に、シングルには1〜3曲、アルバムには8曲以上が収録されています。それに対してEPは、およそ4〜7曲で構成される場合が多いです。
シングルは特定の1曲(タイトル曲)を売り出すのが目的ですが、EPは複数の楽曲でアーティストの世界観や物語を表現します。そしてアルバムは、ある期間の活動の集大成としてリリースされるのが一般的です。
それぞれの役割を理解すると、音楽をもっと楽しめるようになります。
1-2.厳密な定義は存在しない
実は「EP」には、曲数や収録時間に関する厳密で公式なルールは存在しません。時代や音楽をリリースする国、さらにはアーティストの意図によってEPの捉え方が異なるためです。
たとえば、あるアーティストは3曲入りを「EP」として発表する一方、別のアーティストは8曲入りでも「EP」と呼ぶ場合があります。とくに音楽配信サービスが主流になってからは、その境界線は一層あいまいになりました。
そのため、EPはあくまでシングルとアルバムの中間的な作品群を指す、ひとつの目安だと考えておくのが最も分かりやすいです。
2.CDでEPという言葉が使われるようになったのは2010年代
CDや配信といったデジタル音源で「EP」という言葉が広く使われるようになったのは、およそ2010年代に入ってからです。もともとEPはレコード盤の規格を指す言葉でしたので、CDの時代には「マキシシングル」や「ミニアルバム」といった呼び方が一般的でした。
その後、2015年〜2016年あたりから、CDや配信でもEPという表現が使われるようになりました。これには、Appleの影響が大きいと考えられています。
2-1.Appleの影響が大きい
Appleが運営する音楽配信サービス「iTunes Store」では、楽曲を配信する際のルールとして、曲数にもとづく分類基準を設けました。
Appleが定める音楽配信のガイドライン(Apple Musicスタイルガイド)にて、EPの定義が以下のように記載されています。
キャプチャ引用:Apple Music スタイルガイド
上記のガイドラインが発表されて以降、EPの定義が国内外問わず音楽業界に広まり、現在ではEPがCDや配信でも一般的な名称として使われるようになったのです。
3.音楽アーティストがEPを制作する理由やリリースするメリット
お気に入りのアーティストがEPをリリースし、その理由が気になる方もいるのではないでしょうか。ここでは、EPが制作される理由やリリースのメリットを3つに分けて解説していきます。
・初期にリリースしやすい
・アルバムよりも予算を抑えられる
・アルバムをリリースするまでの話題性を生み出せる
それぞれ解説していきます。
3-1.初期にリリースしやすい
活動を始めたばかりのアーティストにとって、EPはフルアルバムよりも制作をおこないやすく、自分たちの名刺代わりとしてリリースしやすい作品形態です。EPをリリースし、リスナーに自分たちの音楽性を知ってもらうのは、ファンを獲得するための有効なステップといえます。
新人アーティストが最初から10曲以上もの楽曲を用意し、フルアルバムを制作するのは簡単なことではありません。しかし、EPであれば4〜5曲で成立するため、楽曲制作の負担が軽くなります。
シングル1曲だけよりもアーティストの多面的な魅力をアピールできるため、初期の作品としてEPを選ぶアーティストは少なくありません。
3-2.アルバムよりも予算を抑えられる
EPはアルバムと比較して収録曲数が少ないため、レコーディングやジャケット制作にかかる費用を大幅に抑えられます。
音楽制作には、スタジオ代、エンジニアへの報酬、CDのプレス代、ジャケットのデザイン費など、さまざまなお金がかかります。収録曲数が多ければ多いほど、これらの費用は増えていくものです。
EPはアルバムよりも少ない曲数で構成されるため、全体の制作予算をコンパクトにまとめることが可能です。とくにインディーズで活動するアーティストや、限られた予算の中で作品を発表したい場合、EPはコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。
3-3.アルバムをリリースするまでの話題性を生み出せる
次のフルアルバムをリリースするまでの期間にEPを発表することで、継続的に話題性を作り出せるメリットがあります。
フルアルバムの制作には1年以上の長い期間がかかるのも珍しくありません。その間、何もリリースがないとファンの関心が薄れてしまう可能性があります。そこで、アルバム制作の合間にEPをリリースすることで、ファンは新しい楽曲を楽しみながら、アーティスト側も活動が続いていることをアピールできます。
4.レコードでも「EP」が存在する
現在使われている「EP」という言葉は、もともとレコード盤の種類のひとつを指す言葉でした。ここでは、レコードEPとは何かを解説していきます。
4-1.レコードEPとは?
レコードのEPとは、直径が7インチ(約18cm)で、毎分45回転で再生する比較的小さなレコード盤のことです。中心に大きな穴が空いているのが特徴で、その見た目から「ドーナツ盤」という愛称で親しまれていました。
それ以前の主流だったSP盤というレコードは1曲しか収録できませんでしたが、EP盤は音溝を細くする技術の進歩によって、片面におよそ5〜8分、両面で2〜4曲ほど収録できるようになったのです。
これにより、シングル曲だけでなく、アルバムから数曲を抜粋したダイジェスト盤のような形でのリリースが可能になりました。
このレコード時代のEPが、すべての始まりです。音楽の歴史を知る上で、このレコードの存在は欠かせないものになります。
4-2.レコードの「EP」「LP」の違い
レコードにはEP盤だけでなくLP盤というものも存在します。
「EP」と「LP」の主な違いは、「盤のサイズ」「回転数」「収録できる音楽の長さ」です。EPが直径7インチで45回転なのに対し、LPは「Long Play」の略で、直径12インチ(約30cm)で33回転が基本です。
LPはEPよりも盤が大きく、回転数も遅いため、片面だけで約20〜30分という長時間の収録が可能でした。そのため、LPはいわゆる「アルバム」作品を収録するために使われ、EPは「シングル」や数曲入りの作品に使われる、という役割分担ができていたのです。
現在のアルバムとEPの関係性の原点は、このLPとEPの違いにあるといえます。
5.まとめ
今回は、シングルとアルバムの中間に位置する「EP」について、その意味や歴史、アーティストがリリースするメリットなどを詳しく解説しました。
EPには「〇曲入り」という厳密なルールはありませんが、一般的に4〜7曲で構成される音楽作品を指します。レコード時代の「EP盤」をルーツに持ち、現代ではアーティストが作品のコンセプトを表現したり、次のアルバムへの期待感を高めたりと、戦略的に活用されています。
EPという視点を持つと、アーティストの意図がより深く理解できるかもしれません。この記事で解説した内容を参考に、音楽をもっと楽しみましょう。
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コラム監修者
テキスト〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇