2025/09/02

レゲエとはどんな音楽?歴史や音楽的な特徴・代表アーティストを解説

レゲエとはどんな音楽?歴史や音楽的な特徴・代表アーティストを解説

夏にぴったりな心地よい裏打ちのリズム。ヒップホップやポップスの中にも感じられる、独特のグルーヴ。その源流である「レゲエ」について、あなたはどれくらい知っていますか。

「レゲエにはどんな歴史があるの?」「レゲエってどんな音楽?」そんな素朴な疑問から、レゲエの世界に一歩踏み込んでみましょう。

この記事では、レゲエの音楽的な特徴から、その魂ともいえるラスタファリ運動との関係、そして現代音楽への影響まで、分かりやすく解説していきます。

レゲエへの理解を深めたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.レゲエとは?

レゲエとは、1960年代後半のジャマイカで生まれた、裏打ちの心地よいリズムと、メッセージ性の強い歌詞が特徴のポピュラー音楽です。

単なる音楽のジャンルとしてだけでなく、ラスタファリ運動という思想・文化と深く結びつき、世界中の人々の心と思想に大きな影響を与えてきました。その独特なサウンドは、現代の様々な音楽のルーツにもなっています。

1-1.レゲエに使用される楽器

レゲエのサウンドは、主にドラム、ベース、ギター、キーボードといった、ロックやポップスと同じバンド形式の楽器で演奏されます。

しかしレゲエでは、それぞれの楽器の役割が独特です。とくに、楽曲の骨格を作るのは、歌うようにメロディックなフレーズを奏でる「ベース」です。そこに、「チャッ」と裏拍を刻むギターや、オルガンなどのキーボードが絡み合い、独特のグルーヴが生まれます。

2.レゲエの歴史


レゲエの歴史は、ジャマイカという国の独立後の社会情勢を背景に、スカ、ロックステディといった現地の音楽が、独自の進化を遂げていった過程そのものです。アメリカのR&Bなど、海外の音楽からの影響を受けつつも、ジャマイカならではの独創的なリズムと精神性を宿した音楽として、世界に広まっていきました。

その誕生から現代に至るまでの、大きな流れを追ってみましょう。

2-1.レゲエの源流:スカとロックステディ(1960年代前半〜中期)

レゲエの直接的なルーツは、1960年代にジャマイカで流行した「スカ」と、その発展形である「ロックステディ」にあります。

1960年代前半、ジャマイカの独立を祝うかのように、速いテンポで楽観的な「スカ」が生まれました。そこから数年後の60年代半ばになると、その熱狂が落ち着き、よりゆったりとしたテンポで、ソウルフルな歌を聴かせる「ロックステディ」が主流となります。

このロックステディの「ゆったりとした心地よいリズム」が、レゲエ誕生の土台となりました。

2-2.レゲエの誕生(1960年代後半)

1960年代の終わり頃、ロックステディのテンポはさらに遅くなり、より複雑なリズムを持つ「レゲエ」という新しい音楽が誕生しました。ドラムが3拍目に強いアクセントを置く「ワンドロップ」というリズムや、うねるようなベースラインが特徴です。

トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズが「Do the Reggay」という曲を発表し、この言葉がジャンル名として定着したといわれています。

この時期に、レゲエならではの、重くて心地よいグルーヴが確立されました。

2-3.世界的な広がりと黄金時代:ルーツ・レゲエ(1970年代)

1970年代にレゲエは、ラスタファリ運動の思想と深く結びついた「ルーツ・レゲエ」として黄金時代を迎え、ボブ・マーリーという世界的スターが登場したことで世界中に広まりました。

歌詞のテーマも、それまでの恋愛歌などから、社会的な不正への抵抗や平和と愛、精神的な解放といった、より深いメッセージ性を持つものへと変化します。

ボブ・マーリーの活躍は、レゲエをジャマイカの島の音楽から、世界中の抑圧された人々の魂を代弁する音楽へと昇華させたのです。

2-4.派生と進化:ダブとダンスホール・レゲエ(1970年代後半〜)

1970年代後半以降、レゲエは、そのリズムやサウンドをさらに進化・解体させた、「ダブ」や「ダンスホール」といったサブジャンルを生み出していきます。

「ダブ」は、レゲエの演奏からボーカルを抜き、過剰なエフェクトをかけてリズムトラックを再構築したリミックス音楽の元祖です。一方「ダンスホール」は、よりシンプルで踊りやすいリズムを重視し、80年代には電子楽器を使ったデジタルなサウンドへと進化しました。

2-5.現代:世界中の音楽への影響

現代におけるレゲエは、世界中のあらゆるポピュラー音楽の中にそのDNAを残す、非常に影響力の強いジャンルとなっています。

レゲエ特有の「裏打ち」のリズムや、楽曲の主役となるベースラインといった音楽的な発明は、数多くのロックやポップス、ヒップホップのアーティストたちに取り入れられてきました。レゲエを知ることは、現代の音楽を、より深く理解するための鍵ともいえるのです。

3.レゲエを象徴する4つの音楽的特徴


レゲエを象徴する音楽的な特徴を、4つご紹介します。

・心地よいリズムを生む裏打ち
・楽曲の主役となるベースライン
・シンプルなコード進行と独特なギター奏法
・平和や愛、社会へのメッセージを込めた歌詞

一つずつ解説します。

3-1.心地よいリズムを生む裏打ち

レゲエの最大の特徴である「裏打ち」は、2拍目と4拍目にアクセントを置くリズムの取り方です。

「ウン・チャッ・ウン・チャッ」という、後ろに引かれるような独特のタイム感が、聴く人に心地よい浮遊感を与えます。ドラムが3拍目に重心を置く「ワンドロップ」という叩き方も、裏打ちのリズムをさらに強調します。

この裏打ちのリズムこそが、レゲエならではのリラックスした雰囲気の源泉なのです。

3-2.楽曲の主役となるベースライン

レゲエにおける楽曲の主役は、ボーカルと同じくらい、あるいはそれ以上に「ベース」です。ほかの音楽ジャンルのように、リズムの土台を刻むだけでなく、太く重い音色のベースが、まるで歌うようにメロディックなフレーズを奏でます。

このシンプルで、催眠術のように繰り返されるベースラインが、レゲエの持つグルーヴの核心となっています。

3-3.シンプルなコード進行と独特なギター奏法

レゲエのサウンドは、比較的シンプルなコード進行の繰り返しと、「カッティング」と呼ばれる歯切れの良いギター奏法によって特徴づけられます。

レゲエの楽曲中のギターは、裏打ちのリズムに合わせて「チャッ、チャッ」と短く歯切れの良い音を刻む、カッティング奏法が基本です。これにより、リズム楽器として、パーカッションのような役割を果たします。

少ない音数でいかに心地よいグルーヴを生み出すか、という引き算の美学が、レゲエのサウンドを唯一無二のものにしている要因です。

3-4.平和や愛、社会へのメッセージを込めた歌詞

「ルーツ・レゲエ」と呼ばれる1970年代のレゲエは、その歌詞に込められた、平和や愛、そして社会に対する強いメッセージ性が非常に特徴的です。これは、後述するラスタファリ運動の思想を背景としています。

貧困や差別といった社会の矛盾に対する怒りや、神への信仰、そして人類愛といった、深く精神的なテーマが、ストレートな言葉で歌われます。ただ心地よいだけでなく、魂に訴えかける力強さを持っているのが、レゲエの歌詞の魅力です。

4.レゲエの魂「ラスタファリ運動」との深い関係

レゲエという音楽を深く理解するためには、その思想的なバックボーンである「ラスタファリ運動(ラスタファリアニズム)」との、切っても切れない深い関係を知ることが不可欠です。

レゲエは、この運動の思想を音楽という形で世界中に広めるための、最も重要なメディアでした。その独特な世界観を見ていきましょう。

4-1.ラスタファリ運動とは?

ラスタファリ運動とは、1930年代のジャマイカで、労働者階級の黒人たちの中から生まれた、思想的・宗教的な社会運動です。エチオピア帝国の皇帝ハイレ・セラシエ1世を、神の化身、あるいは救世主として崇拝し、アフリカへの回帰を理想とします。

ドレッドヘアや菜食主義、そしてガンジャ(大麻)を聖なるものとして見なすなど、独特の文化を持つのが特徴です。このラスタファリ運動が、レゲエの歌詞や精神性に決定的な影響を与えました。

4-2.歌詞に込められたメッセージ

レゲエの歌詞には、ラスタファリ運動の思想にもとづく象徴的な言葉やメッセージが数多く込められています。

たとえば、西洋の白人中心の社会や権力構造のことを旧約聖書に登場する堕落した都市になぞらえ、「バビロン」と呼んで批判します。その対極にある、約束の地・故郷アフリカのことを「ザイオン」と呼び、そこへの帰還を歌います。

また、「ワンラブ」という言葉に代表される「人類愛や平和への強い願い」も、レゲエの中心的なメッセージです。

5.レゲエを代表するアーティスト

レゲエを代表するアーティストとして、以下の偉大なアーティストをご紹介します。

・ボブ・マーリー
・ジミー・クリフ
・ピーター・トッシュ
・トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズ
・リー・ペリー
・イエローマン

詳しくみていきましょう。

5-1.ボブ・マーリー

ボブ・マーリーは、レゲエをジャマイカのローカルミュージックから世界的なムーブメントへと押し上げた、史上最も偉大なレゲエミュージシャンです。

彼が率いた「ザ・ウェイラーズ」の音楽は、ラスタファリ運動の思想を背景に、愛や平和、そして社会的な抵抗のメッセージを世界中に届けました。アルバム「エクソダス」は、米タイム誌によって「20世紀最高のアルバム」と評されています。

まさに、レゲエの神様ともいえる絶対的な存在です。

5-2.ジミー・クリフ

ジミー・クリフは、1972年に公開された映画「ハーダー・ゼイ・カム」の主演とサウンドトラックを手掛け、レゲエの魅力を世界に知らしめた初期の立役者の一人です。

彼の歌声は、ソウルミュージックの影響を強く感じさせる、甘く、そして力強いものです。「Many Rivers to Cross」などの名曲は、ジャンルを超えて多くの人々の心を打ちました。ポップな感性で、レゲエの門戸を世界に開いたシンガーといえるでしょう。

5-3.ピーター・トッシュ

ピーター・トッシュは、ボブ・マーリーと共に「ザ・ウェイラーズ」を結成したオリジナルメンバーであり、ソロ活動では、よりラディカルで政治的なメッセージを歌ったレゲエ界の戦士です。

彼の歌詞は、社会の不正義やアパルトヘイトへの怒りを、一切の妥協なくストレートに表現しました。その反骨精神あふれる姿勢は、多くのミュージシャンに影響を与えています。

レゲエが持つ力強い抵抗の音楽としての一面を、最も純粋に体現したアーティストです。

5-4.トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズ

トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズは、1968年の楽曲「Do the Reggay」で、レゲエというジャンルそのものを名付けたとされる非常に重要なグループです。

リーダーのトゥーツ・ヒバートの歌声は、アメリカのソウルシンガーにも匹敵するほどパワフルで、ゴスペルの影響を感じさせます。スカ、ロックステディ、そしてレゲエという、ジャマイカ音楽の変遷を、そのキャリアを通じて体現しました。レゲエの持つ、陽気で、生命力あふれる側面を代表する存在です。

5-5.リー・ペリー

リー・ペリーは、レコーディングスタジオのミキシング卓を楽器のように操り、「ダブ」という新しい音楽ジャンルを生み出した、天才的な音楽プロデューサーです。

彼は、レゲエの演奏からボーカルを抜き、極端なエコーやリバーブといった音響効果を加えて、幻想的でサイケデリックなサウンドを創造しました。その革新的な手法は、後のヒップホップや電子音楽に計り知れない影響を与えています。レゲエのサウンドを、アートの領域にまで高めた偉大な革新者です。

5-6.イエローマン

イエローマンは、1980年代の「ダンスホール・レゲエ」ブームを象徴する、最も人気を博したDJの一人です。

彼は、ユーモラスでときにきわどい内容の歌詞を、独特のメロディックなフロウに乗せて歌い、ジャマイカのダンスホールを熱狂させました。レゲエが、よりダンサブルでエンターテインメント性の高い音楽へと変化していく、その中心にいたスターでした。

6.レゲエから派生した、多様なサブジャンル


レゲエは、誕生してから現在に至るまで、数多くの個性的なサブジャンルへと枝分かれしてきました。ここでは、レゲエをより深く楽しむために知っておきたい、代表的な4つのサブジャンルをご紹介します。

1.ダブ
2.ダンスホール・レゲエ
3.ラヴァーズ・ロック
4.ルーツ・レゲエ

それぞれ解説します。

6-1.ダブ

ダブは、レゲエの楽曲からボーカルを取り除き、エコーやリバーブといったエフェクトを過剰にかけて再構築した、インストゥルメンタルのリミックス音楽です。ドラムとベースの重低音が極端に強調され、幻想的で、音響空間そのものを楽しむような、非常に実験的なサウンドが特徴です。

現代のクラブミュージックやヒップホップにおける「リミックス」という文化の、元祖といえるジャンルです。

6-2.ダンスホール・レゲエ

ダンスホール・レゲエは、その名の通りジャマイカのダンスホール(野外ディスコ)で人々を踊らせることを目的に、よりシンプルで、リズミカルに進化したレゲエです。1970年代後半から広まっていきました。

80年代には、シンセサイザーやドラムマシンを使った、デジタルなサウンドが主流となりました。歌詞も、ラスタの思想から離れ、より日常的でエンターテインメント性の高いものが中心です。

6-3.ラヴァーズ・ロック

ラヴァーズ・ロックは、1970年代にジャマイカ移民が多く住むイギリスのロンドンで生まれた、甘く、メロウで、ロマンチックな歌詞を特徴とするレゲエのサブジャンルです。社会的なメッセージよりも、男女の恋愛をテーマにしたソウルミュージックやR&Bの影響が色濃く、とくに女性ボーカルの楽曲が多いのが特徴です。

レゲエの持つ心地よく優しい側面を、より洗練された形で発展させたスタイルといえます。

6-4.ルーツ・レゲエ

ルーツ・レゲエとは、1970年代のレゲエ黄金期にラスタファリ運動の思想と深く結びついて生まれた、最もスピリチュアルで、メッセージ性の強いレゲエを指します。

歌詞では、ボブ・マーリーに代表されるような貧困や差別への抵抗、アフリカ回帰、神への信仰といった、ラスタの思想が色濃く反映されています。

一般的に、世界中の人々が「レゲエ」と聞いてイメージする、象徴的なサウンドと精神性を持ったスタイルです。

7.まとめ

この記事では、レゲエの音楽的な特徴から、その歴史と精神的な背景、そして代表的なアーティストまでを幅広くご紹介しました。

レゲエとは、ただ心地よいリズムを持つだけでなく、平和や愛、そして社会への強いメッセージを内包した、非常に深くて力強い音楽です。レゲエを知ることで、音楽体験がさらに豊かなものになるはずです。

ぜひ、この記事で紹介したアーティストの楽曲から、レゲエの音楽に触れてみてください。

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コラム監修者

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