2025/09/03

シティポップが海外でなぜ人気なのか?4つの理由を徹底解説

シティポップが海外でなぜ人気なのか?4つの理由を徹底解説

1980年代の日本が生んだ、都会的でお洒落なサウンド「シティポップ」。最近その魅力に気づき聴き始めたという方も多いのではないでしょうか。

しかし、驚くべきことに、このブームは日本だけでなく、海を越えて世界中の若者を熱狂させています。言葉も文化も違う彼らが、なぜ40年以上も前の日本の歌に、心を奪われるのでしょうか。

この記事では、以下の内容を解説していきます。

・そもそもシティポップとは?
・なぜシティポップが海外で人気なのか?
・海外で人気の代表的なシティポップアーティストと楽曲
・海外でのシティポップ人気がもたらした影響

記事の後半では、若い世代が聴くべきシティポップの楽曲についても解説していますので、シティポップに興味をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.そもそもシティポップとは?

シティポップとは、主に1970年代後半から1980年代の日本で生まれたポップミュージックのことをさしています。都会的で洗練されたサウンドと、リゾート感あふれる世界観が特徴的です。

ここでは、シティポップが誕生した背景と、シティポップのバックボーンとなる音楽についてご紹介します。

1-1.シティポップが誕生した背景

シティポップが誕生した背景には、1970年代後半からの、日本の高度経済成長と、それに伴う都市文化の成熟があります。

都会で暮らす人々が、ドライブやリゾートといった、お洒落な余暇を楽しむライフスタイルに憧れを抱き始めました。カーステレオやウォークマンといった新しい音楽再生機器の普及も、そのムードに合った、洗練された音楽の需要を高めたのです。

シティポップは、まさに当時の空気感を映し出すサウンドトラックといえます。

1-2.当時の洋楽から多大な影響を受けている

シティポップのサウンドは、当時のアメリカ西海岸で流行していた、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)やソウル、ファンクといった洋楽から、多大な影響を受けています。

日本のアーティストたちが、洋楽を独自に消化・再構築し、日本人の琴線に触れるキャッチーなメロディと融合させました。「洋楽的でありながら、どこか日本的」という絶妙なバランスが、シティポップの普遍的な魅力を生み出しているのです。

2.なぜシティポップが海外で人気なのか?4つの理由


40年以上も前の日本のシティポップが、今海外で人気を博しているのには、以下4つの理由が関係しています。

・YouTube上での奇跡的な「再発見」
・TikTokでシティポップの楽曲を使用したダンス動画の拡散
・海外でのリアクション動画やカバー動画の拡散
・海外の音楽と共鳴する、国境を越えた普遍的なサウンド

一つずつ解説します。

2-1.YouTube上での奇跡的な「再発見」

海外でシティポップに人気が出るきっかけとなった最大の出来事は、2010年代後半に起こりました。YouTubeのアルゴリズムが、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」を、世界中のユーザーにおすすめ表示したのです。

海外ユーザーにおすすめ表示された音源は、非公式のものでした。しかしその哀愁漂うメロディと、謎めいたサムネイル画像がユーザーの心をつかみ、再生回数が爆発的に増加したのです。

2-2.TikTokでシティポップの楽曲を使用したダンス動画の拡散

YouTubeでのブームに続き、TikTokで、松原みきさんの「真夜中のドア〜Stay With Me」を使ったダンス動画が世界的に拡散したことも、ブームをさらに加速させました。

参考:松原みき「真夜中のドア~stay with me」が海外発で40年ぶりのヒット。その立役者2人とは?(柴那典) – エキスパート – Yahoo!ニュース

楽曲のキャッチーなサビと、ノスタルジックな雰囲気が、短い動画の中で表現するのに最適でした。多くの海外インフルエンサーがこの曲を使った動画を投稿し、シティポップを音楽ファンだけでなくより広い若者層へと浸透させたのです。

2-3.海外でのリアクション動画やカバー動画の拡散

YouTubeで再発見されたシティポップは、その後、世界中のクリエイターによる「リアクション動画」や「カバー動画」が作られるようになります。すると瞬く間にさまざまな動画が拡散され、日本のシティポップがさらに知名度を高めていくことになったのです。

海外の若者が、初めて聴く日本の楽曲に、新鮮な驚きや感動を表現するリアクション動画は、新たなリスナーを生み出すきっかけとなります。また、様々な言語やスタイルでカバーされることで、シティポップの魅力が、より広い層へと伝播していきました。

2-4.海外の音楽と共鳴する、国境を越えた普遍的なサウンド

海外のリスナーがシティポップに惹かれる音楽的な理由は、そのサウンドが、彼らが慣れ親しんだソウルやファンクといった音楽と共通する「音」を持っているからです。

当時の卓越したスタジオミュージシャンによるタイトな演奏や、心地よいグルーヴ、そして洗練されたコード進行は、洋楽ファンにとっても非常にクオリティが高いものとして受け入れられました。さらに、シティポップ独自の日本語の響きが、かえって異国情緒あふれる「楽器」のように作用し、その魅力をさらに高めています。

3.日本語歌詞のシティポップが海外で人気な理由

海外のユーザーは、なぜ日本語歌詞のシティポップを聴くようになったのでしょうか。そこには、「歌詞の意味がわからないからこその魅力」があります。

海外のリスナーにとって、シティポップの日本語の歌詞は意味が分からないからこそ、かえって魅力的に響いているのです。歌詞の意味に縛られないため、そのメロディやサウンド、そして声の響きそのものを一つの「楽器」のように、純粋な音楽として楽しむことができます。

日本語の持つ、滑らかでリズミカルな音の響きが、シティポップの洗練されたサウンドと見事に調和しているのです。言葉の壁を越えて、音そのものの心地よさが、世界中の人々を惹きつけているといえるでしょう。

4.海外で人気の代表的なシティポップアーティストと楽曲

シティポップブームを通じて、今や世界中に日本人アーティストのファンが存在します。ここでは、海外でとくに人気の高い、ブームを象徴する4組のアーティストと、その代表曲をご紹介します。

4-1.竹内まりや「プラスティック・ラブ」


竹内まりやさんの「プラスティック・ラブ」は、海外でのシティポップブームのきっかけを作った一曲です。

都会的で哀愁漂うメロディと、切ないながらも、どこかクールな歌詞の世界観が、多くの海外リスナーの心を掴みました。山下達郎さんが手掛けた、洗練されたアレンジも、その評価を不動のものにしています。この曲なくして、現在のシティポップブームは語れません。

4-2.松原みき「真夜中のドア〜StayWithMe」


松原みきさんのデビュー曲「真夜中のドア〜Stay With Me」は、TikTokでの世界的ヒットをきっかけに、シティポップを代表するもう一つのアンセムとなりました。

イントロのサックスのフレーズから、一気に引き込まれるキャッチーなメロディ、松原さんの卓越した歌唱力が多くの海外リスナーに衝撃を与えました。Spotifyのグローバルバイラルチャートで1位を獲得するなど、その人気は社会現象となりました。

4-3.山下達郎「RIDE ON TIME」「SPARKLE」


「キング・オブ・シティポップ」と称される山下達郎さんは、その卓越した音楽性で、海外の音楽ファンからも絶大なリスペクトを集めています。

夏の情景が浮かぶような高揚感あふれる「RIDE ON TIME」や、カッティングギターのリフがあまりにも有名な「SPARKLE」など、そのサウンドは、今聴いても全く色褪せません。

4-4.大貫妙子「都会」「4:00 A.M.」


大貫妙子さんは、その知的でどこかヨーロッパの香りもする洗練された音楽性で、海外の熱心な音楽ファンから高い評価を受けているアーティストです。

とくに、都会の情景をクールに描いた初期の楽曲「都会」や、メロウな名曲として名高い「4:00 A.M.」は、シティポップの持つ、お洒落で少し物憂げな側面を象徴する曲として人気です。その独特の世界観が、多くのクリエイターにもインスピレーションを与えています。

5.海外でのシティポップ人気がもたらした影響


海外でのシティポップ人気は、単なる音楽ブームに留まらず、中古レコード市場や現代の音楽シーンにも影響を及ぼしています。

ここでは、その代表的な2つの影響について見ていきましょう。

5-1.アナログレコード価格の高騰

海外での人気再燃によって、シティポップの名盤のオリジナル・アナログレコードの価格は、中古市場で驚くほど高騰しています。とくに、山下達郎さんや竹内まりやさんのレコードは、海外のコレクターからの需要が非常に高く、ブーム以前の数倍〜数十倍の価格で取引されることも珍しくありません。

当時数百円で買えたレコードが、今や数万円の価値を持つお宝となっているのです。この価格高騰は、シティポップが本物の価値を持つ音楽として、世界に認められた証拠といえます。

関連記事:レコードブームが起きている4つの理由!若者を惹きつけるレコードの魅力

5-2.現代の国内外のアーティストへの影響とリバイバルブーム

シティポップの洗練されたサウンドは、現代の国内外のアーティストたちに大きなインスピレーションを与え、リバイバルブームともいえる状況を生んでいます。

The Weekndのような世界のトップアーティストがシティポップの楽曲をサンプリングしたり、アジアの若手バンドがその影響を公言したりと、その音楽性は世界中で再評価されています。日本国内でも、シティポップ風のお洒落なサウンドを取り入れる新しい世代のアーティストが次々と登場しています。

6.若い世代が聴くべきシティポップの楽曲

これからシティポップを聴いてみたい、という若い世代の方には、ブームのきっかけとなった有名曲はもちろん、ジャンルの持つ多様な魅力を感じられる隠れた名曲もおすすめです。

・竹内まりや「プラスティック・ラブ」
・竹内まりや「駅」
・松原みき「真夜中のドア〜StayWithMe」
・松任谷由実「真珠のピアス」
・山下達郎「RIDE ON TIME」
・山下達郎「SPARKLE」
・大貫妙子「都会」
・吉田美奈子「FLAPPER」
・大滝詠一「君は天然色」
・南佳孝「モンロー・ウォーク」

シティポップの世界は、一度足を踏み入れると、その奥深さに夢中になるはずです。ぜひご自身の琴線に触れる一曲を見つけ、そのほかのアルバムや同時期に発表された楽曲など、幅を広げて聴いてみてください。

7.今からシティポップを楽しむならレコードがおすすめ


今からシティポップを本格的に楽しむなら、その音楽が生まれた時代の空気感を最もダイレクトに感じられるアナログレコードで聴くのが、断然おすすめです。

シティポップは、アナログレコードの温かく、奥行きのあるサウンドで聴かれることを前提に制作されていました。また、永井博氏などに代表されるレコードジャケットの美しいアートワークも、その世界観を構成する非常に重要な要素です。

音楽だけでなく、ジャケットを部屋に飾り、そのアートと共に楽しむ。この「モノ」としての体験こそが、シティポップの魅力を最大限に引き出してくれます。

関連記事:【徹底解説】レコードとは?基本から種類・音の再生に必要なもの

8.まとめ

この記事では、シティポップが海外で人気となった理由を、以下の4つに分けて解説しました。

・YouTube上での奇跡的な「再発見」
・TikTokでシティポップの楽曲を使用したダンス動画の拡散
・海外でのリアクション動画やカバー動画の拡散
・海外の音楽と共鳴する、国境を越えた普遍的なサウンド

海外でのシティポップブームは、国やレコード会社が仕掛けたものではありません。シティポップの音楽そのものの持つ普遍的な魅力と、インターネット時代の偶然が生んだ、奇跡的な現象です。

日本で生まれた楽曲が、時を超えて世界中の人々の心を潤している。その事実を知ると、いつもの一曲が、少し違って、そしてもっと誇らしく聴こえてくるかもしれません。

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コラム監修者

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